被害甚大!驚異的なツマアカスズメバチ
「蜂被害」と聞いて連想しやすいのは「スズメバチ」によるものではないしょうか?
一口にスズメバチと言っても日本国内だけでも3属17種のスズメバチが存在します。
日本のスズメバチ17種 | ||
スズメバチ属 | オオスズメバチ | キイロスズメバチ |
コガタスズメバチ | モンスズメバチ | |
ヒメスズメバチ | チャイロスズメバチ | |
ツマグロスズメバチ | ツマアカスズメバチ | |
クロスズメバチ属 | クロスズメバチ | ツヤクロスズメバチ |
シダクロスズメバチ | キオビクロスズメバチ | |
ヤドリスズメバチ | ||
ホオナガスズメバチ属 | シロオビホオナガスズメバチ | キオビホオナガスズメバチ |
ニッポンホオナガスズメバチ | ヤドリホオナガスズメバチ |
これら17種のスズメバチは、種類によって習性が異なります。
スズメバチの行動を理解し、きちんと種類を見分けることで正確に、迅速に駆除をする事、または共生する事が出来るため、住宅付近や刺されてしまう危険性のある場所で巣を発見した場合、種の特定をします。
このスズメバチの中でも、わたし達の生活の中で身近に存在し、ニュースなどで話題になるものは主にスズメバチ属によるものです。
スズメバチ属の中でも、種類によっても異なりますが、攻撃性・毒性・威嚇性が高いことが特徴的です。
※スズメバチ属の種類別生態は別記事を参照してください
ツマアカスズメバチについて
2012年に「ツマアカスズメバチ」が長崎県に属する対馬にて確認されています。
このツマアカスズメバチは、非常に凶暴な上、主食としてミツバチをエサとするため養蜂業や農業で大きなダメージが与えられる危険性がある非常に厄介な蜂です。
生息範囲を広げ、数をどんどん増やすと、ツマアカスズメバチが主食とするミツバチが各地で壊滅的な被害に遭ってしまいます。
つまり養蜂により生産されるもの(ハチミツやローヤルゼリーなど)の生産がなくなってしまうほか、受粉を行う農作物(野菜や果物など)もミツバチを利用して行うことが出来なくなるため大きな損害にあってしまいます。
この「ツマアカスズメバチが問題視される一番の原因」は、 驚異的な増加速度・生息地域の拡大速度です。
もともと1836年にインドネシア、ジャワ島で確認された種で、2005年頃にヨーロッパではフランス南西部のごく一部で確認される程度だったのですが、その5年程経った2010年には、フランス南部・西部まで生息範囲を広げ、その後スペイン北部にまでも生息が確認されています。
2012年にはドイツ、ポルトガル、ベルギーでも生息が確認されるようになり、陸続きであるヨーロッパでの生息範囲の拡大がとても問題視されています。
またヨーロッパだけの問題だけでなくアジアでも、2003年に韓国の釜山(ぷさん)で確認されて以降は、付近で被害が拡大し、在来種のスズメバチを上回る数が生息し、生態系が崩れてしまった地域があると報告されています。
その驚異的な速さで分布拡大するツマアカスズメバチが2012年に長崎県の対馬で確認され、日本に上陸しており、ニュースや新聞、特集番組などでも取り上げられるほど深刻として問題視されています。
ツマアカスズメバチ | ||
写真 | ||
体長 | 女王蜂:30mm 働き蜂:20mm オス蜂:25mm前後 | |
体色 | 全体的に黒色 腹部の先端は赤味を帯びたオレンジ色 | |
性格 | 攻撃性が非常に高く、凶暴。攻撃対象となるものを執拗に追い回し攻撃する | |
食性 | 幼虫 | ミツバチ・ハエ・トンボなど肉食 |
成虫 | 蜜・樹液 | |
営巣場所 | 初期 | 土中や低い木の茂み等 |
活動期 | 樹木の高い位置 (数m以上) |
駆除が困難なツマアカスズメバチと今後の対策
ツマアカスズメバチは、10mを超えるほどの大きな樹木の高い場所の枝に巣を作る習性が本来あるため、韓国でツマアカスズメバチが増加した時は、高層マンションの住人が刺されてしまうといったケースが多くあるほどでした。
日本でも生息範囲が広がると、高い位置に営巣をする習性があるため、高層ビルや高層マンションなどにも巣をつくる可能性は高く、韓国と同じような高層マンションやビルなどでの被害が起きる可能性があります。
駆除もクレーン車を必要とした大掛かりな駆除作業が必要となるため、それに対応する蜂駆除専門の業者が対応しなければなりません。攻撃性も非常に高いため危険度や料金も上がることが予想されます。
現在、日本全土への被害を未然に防ごうとするため、大学の研究者等がツマアカスズメバチの調査を行っています。
□ 現在の数より増やさない □ 現在の数以上の侵入を防ぐ □ 発見するたび駆除を行う
現在のところ、生息地の拡大を防ぐためには以上の3点しかないため、これ以上生息範囲を広めないことをとりあえずの対策とせざるを得ません。
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