蜂の1年【スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチ】
「蜂」の生活史の多くは1年です。蜂の種類もたくさんありますが、ここでは毒針で人間を刺す可能性がある「スズメバチ」「アシナガバチ」「ミツバチ」の生活史、1年の様子について説明します。
スズメバチ | アシナガバチ | ミツバチ | |
春 | 女王蜂が活動し営巣を始める | 活動中 | |
夏 | 活発に活動中 | ||
秋 | 活動中 | ほとんど活動を終了 | |
冬 | 女王蜂のみ越冬中 | 巣全体で蜂球をつくり 身を寄せ合って寒さを凌ぐ |
ヒトを刺し住宅に巣をつくるとさまざまな被害を出す、スズメバチ・アシナガバチの生活史は1年で、冬には女王蜂以外の全ての働き蜂はその生涯を終えます。
それに対しミツバチは、巣全体の様子は1年を単位に変遷しますが、巣にいる全ての働き蜂は冬でも寿命が続く限り、女王蜂を取り囲むように巣全体の蜂で密集することで体温を上昇させ、寒さを防ぎ、暖かくなるのをじっと待ち、暖かくなってくるとまた活動を再開しだし辺りを飛び回ります。
越冬中のスズメバチ |
生活史が1年のスズメバチとアシナガバチ
5月になり暖かくなると、樹洞や土の中などで冬眠していた女王蜂が目覚めだし、弱った体に栄養を補給するため、樹液や花の蜜を吸いに辺りを飛び回ります。空腹を満たし、体力を回復させるといよいよ巣づくりの開始です。※巣づくりは種によっても時期が多少異なります。
この頃は、女王蜂が1匹で巣づくりを始めるため、巣が急激に大きくなることはありません。女王蜂はいくつか育房室をつくると、この初期の巣の中で1度目の産卵をします。
アシナガバチ 初期の巣に産卵された卵 |
最初の働き蜂が産まれるまでの約1ヶ月間は、自分や子ども達のエサとりなど、新女王蜂1匹で子育てと巣づくりをこなします。
働き蜂が誕生すると、働き蜂はすぐには飛ぶことが出来ないため、飛べるようになるまでの2~3日は、他の幼虫の世話をしたり巣の中の清掃などをしながら生活をしています。徐々に働き蜂が産まれ出してくると、その後女王蜂は2度目以降の産卵に専念し、エサとりや育児、巣を大きくすることなどはすべて働き蜂が行うようになります。そのため巣内の働き蜂の数はどんどん増えだし、それに伴い巣の規模の拡大は加速していき、夏から秋にかけてピークを迎えます。
スズメバチ 働き蜂が増えどんどん大きくなる巣 |
秋(10月頃)になると、翌年の新女王となる蜂は羽化したオス蜂(別のコロニーからやってくることが多い)と交尾を行います。
蜂の交尾 |
受精した後、それぞれの越冬場所(樹洞や土の中など)で冬眠し、翌年の春が訪れ活動を再開できる日がくるのをじっと待ちます。
巣づくりを始めた女王蜂や働き蜂は寒さに耐え切れず死んでしまうため、巣の働き蜂の数はどんどん減少し、やがて巣内には生きている蜂はいなくなり、活動が終わります。
蜂がいなくなり残された巣は翌年以降に再度使われることはありませんが、ほかの小さな昆虫の巣になることや翌年以降の巣の材料になることがあります。
1年中活動するミツバチ
スズメバチやアシナガバチと違って、ミツバチはの女王は寿命の平均が3~4年となっています。そのため1年で巣の活動が終了するわけではありません。
ミツバチの女王は、たっぷりと王乳を与えられ、王台で特別に育てられ新女王となります。ひとつの群に女王は1匹しか存在できないため、新女王を誕生させることを働き蜂が始めるのは、今の女王蜂の寿命が近付き産卵が減ってきた場合や、巣の中に蜜が溜まりすぎて分家を出す必要が出てきた時などです。
蛹から新女王となる蜂が誕生する前に、今までの女王は群の1/3程の働き蜂を連れて「分蜂」を行います。
一方働き蜂の寿命は、活動の盛んな繁殖期には休みなく働いているため1~3ヶ月程ですが、冬になりあまり動かない時期では、半年~7ヶ月程は寿命があるといわれています。
ミツバチの女王と働き蜂の群れ |
活動期以外の寒い冬は、巣の中に閉じこもりますが、冬眠しているわけではありません。
産卵を休んでいる女王蜂を中心にして、働き蜂たちがからだを寄せ合って、蜂球をつくり、細かい羽ばたきで熱をおこして暖め合っているのです。そのため寒い冬でも巣の中は30度前後に保たれています。冬の間はあまり花もなく、活動もしていないため、何を食べているのか気になるところですが、蓄えておいたハチミツなどを少しずつ舐めながら生活しています。
寿命や活動期の差はありますが、スズメバチもアシナガバチもミツバチも刺される危険(危険度にも差はある)があります。巣を発見したり、危険だと判断した場合はすぐにその場を離れて、蜂駆除専門の業者へ連絡をして駆除を行いましょう。
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