蜂に刺された時の応急処置
蜂に刺されないように気を付けていても、巣に気付かなかった場合や知らない間に蜂を刺激してしまった場合など、蜂に刺されてしまうということは起こりうる話です。
万が一蜂に刺された場合に、正しい応急処置を行うことで、症状を緩和することが出来たり、さらなる被害を防ぐことが出来る場合が多くあります。
蜂に刺された時の応急処置
蜂に刺されてしまうと、個人差はありますが、軽度の症状や重度の症状があり、さらに正しい処置を行わなければショック状態となり、最悪の場合死亡してしまうこともあります。
※ショック症状が生じてきている場合は、至急医療機関を受診するようにしましょう
まずはおおまかな応急処置の流れをご紹介しますので、万が一刺された場合は参考にしてください。
蜂刺され時の応急処置 |
① 刺された場所から離れる |
② 患部を流水で洗い流しながら毒を絞り出す |
③ 患部に抗ヒスタミン軟膏などの薬を塗布する |
④ 氷や保冷剤などで冷却する |
⑤ 出来るだけ早めに医療機関へ |
① 刺された場所から離れる
まずは安全を確保することが最優先です。頭などの黒い部分を手やタオル等で隠し、姿勢を低くして、大きな声を出したり振り払うなどの行動をせず、速やかにその場を離れるようにしましょう。
蜂の毒液には警報フェロモンが含まれており、他の働き蜂に敵のいる場所を知らせる役割があり、その場を離れずにいると大量の蜂に襲われてしまう危険があります。蜂の種類や状況によっても追いかけてくる距離は多少異なりますが、最低でも10m~20m以上は離れ、可能であれば最大でも50m程離れた場所や屋内に避難すれば問題ありません。
② 患部を流水で洗い流しながら毒を絞り出す
刺された蜂の種類がミツバチだった場合は、患部に毒針が残ったままになっていることがあります。ミツバチの毒針は毒嚢(どくのう)と呼ばれる毒液が入った部分もつながったまま刺さっているため、そのまま体内に毒液が注入され続けます。指で針を抜こうとすると、毒嚢を圧迫し、さらに毒液が体内へ入っていく恐れがあるため、毛抜きやピンセットなどの道具を使用するようにしましょう。道具がない場合は硬いカードなどで、横から払うように針を取り除きましょう。
毒針を取ったあとや、毒針が刺さっていない場合には出来るだけ早く患部を流水で洗い流します。同時に患部の周囲をつまみ、毒液と血を絞り出しましょう。この時、口で毒を吸い出すような行為は控えましょう。虫歯や歯茎などから毒が侵入し、二次被害を招く恐れがあります。
またホームセンターなどで毒液や毒針を吸引作用で抽出する〝ポイズンリムーバー〟という器具も販売されていますので、林業関係者や蜂がいそうな場所によくお出かけになるという方は、万が一に備えて準備しておくのもよいでしょう。
③ 患部に抗ヒスタミン軟膏などの薬を塗布する
薬がある場合は患部に塗りましょう。抗ヒスタミン系成分を含むステロイド系軟膏が適切です。
抗ヒスタミン成分とは、一般的にはじんましんやアトピーなどの症状緩和に使用されるもので、痒み止めの効果があります。ステロイド成分は「副腎皮質ホルモン薬」と言い、炎症やアレルギーを抑える働きがあります。蜂を含む虫刺されの症状は、虫の毒による一種のアレルギー反応のため、これらの成分によって症状がやわらぎます。抗ヒスタミンもステロイドも特別な薬ではなく、市販されている虫刺されの薬によく配合されているものですので、よくわからない場合は薬局で「蜂に刺された」ということを伝えればよいでしょう。
④ 氷や保冷剤などで冷却する
薬を塗った後は、患部を冷却します。血行がいいと痛みや腫れが増すため、氷や保冷剤などをガーゼやタオルに包んで患部に当てて、冷やしましょう。
⑤ 出来るだけ早めに医療機関へ
蜂に刺されるとさまざまな症状が現れます。患部の痛みや腫れなど局部に現れる軽い症状だけの場合や、全身に蕁麻疹ができたり頭痛や吐き気などの全身症状に加え、呼吸困難や意識障害などショック症状が出てきた場合は、早急に適切な対処を行わないと最悪の場合死亡する場合があります。
特に蜂に刺された場合の多くが、15分以内にはこれらの症状が出てくる場合があり、症状があらわれるスピードが早ければ早いほど、重症になるケースが多く、アナフィラキシーの症状が出てから15分ほどで心停止になることがあるため一刻も早く応急処置を行い、医療機関での治療を行う必要があります。基本的に蜂刺されの場合は皮膚科を受診すればよいですが、緊急の場合は救急車を呼ぶか、救急医療センターへ急いでください。
刺した蜂の種類や、刺された時の体調、刺された箇所、刺された数などにより症状は異なりますが、最低でも30分は アレルギー反応がないか経過を観察する必要があります。
救急車を呼ぶまでに出来ること
蜂に刺され、軽い蕁麻疹やめまい、胸が苦しいなどの症状が出た場合は速やかに医療機関へ行きましょう。
急に酷い蕁麻疹・脱力感・幻聴・低血圧・呼吸困難・意識障害など全身症状が出てきた場合や、ご自身で医療機関へ行くことが困難な場合などは、至急救急車を呼びましょう。
救急車が到着するまでの間、可能な限り(1人の場合は無理はしないように)上記の応急処置をしておきましょう。また、他にも
□ 吐き気がある場合や嘔吐している場合は、気管をつまらせないよう横向きに寝る
□ 吐き気などがない場合は頭を低くし、足を高くして仰向けの状態で寝る
□ 患部が手足の場合、心臓に近い方を紐などで縛る(15分おき位で縛る場所を緩めること)
蜂の毒は直接体内に毒がまわるため、特にアナフィラキシー症状を引き起こすまでの時間が短く、10~15分程度でショック状態に陥り、治療が間に合わないケースがあり極めて短時間で適切な処置が必要です。
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