毒エサが効かない「スーパーラット」
近年、都市部や市街地などで「スーパーラット」と言う、殺鼠剤(毒エサ)が効かないネズミが急増しています。
スーパーラットは、その大半がクマネズミが進化したもので、ただでさえ警戒して毒エサを食べにくいと言われている上に、毒エサを食べても効かないとなると非常に厄介なことになりますが、それでも住宅内に侵入されさまざまな被害がある以上、時間をかけて地道に駆除を行っていく必要があります。
スーパーラットの大半はクマネズミが進化したもの
もともとクマネズミは、天井裏やビルなどの高い場所で多く見られるなど運動能力に優れているため、水道管や電線なども器用に渡ることができます。
昔の日本家屋では、天井裏などに棲みつく〝クマネズミ〟と、下水道や台所などの低くて湿り気のある場所を好む〝ドブネズミ〟が多く生息し、戦後都市化が進むと地下街や下水道などの普及に伴いドブネズミが勢力を伸ばしましたが、1970年以降の高層ビル建築が多くなり始めるとともに、高くて乾燥した場所を好むクマネズミが目立ち始めるようになりました。
こうして現在の住宅でのネズミ被害は、ほとんどがクマネズミのものとなり、都市部や高層ビルでもクマネズミが大量発生しています。
「スーパーラット」は、その大半がクマネズミが進化したもので、現在、地域によってはネズミ被害のほとんどが、このスーパーラットによるものだと報告されていることもわかっています。
また毒エサへの耐性を調査する実験では、普通のクマネズミが長くて2週間ほどで死んでしまったのに対し、スーパーラットは平均で約半年生き続け、最長で1年2ヶ月以上生き続けたという結果が報告されています。
どうしてスーパーラットに進化したのか?
どうしてクマネズミはスーパーラットへと進化してしまったのでしょうか。
これはもともと毒に対して強い体質のネズミが存在していたことや、毒に対する耐性が強いネズミ同士が交配を繰り返し、 産まれてくる子ネズミもまた毒に強い耐性をもつネズミとなるなど、遺伝が関係しているようです。
もともとネズミは寿命が短く、繁殖能力に優れているため、一生のうちに何度も子どもを産みます。
毒に対する耐性が強いネズミが生き残ってしまうため、生き残った強いネズミ同士が交配して子孫を増やしていき、産まれてくる子ども達も毒に対して強い耐性を持つスーパーラットとして誕生します。
出産の度にスーパーラットが増え、またその強さも徐々に増していき、さらに毒に強いスーパーラットが増えると予想されています。
ただでさえ駆除が困難なクマネズミがスーパーラットへと進化し続けていくと考えると非常に厄介な問題です。
スーパーラット対策
スーパーラットには、これまで一般的にネズミ駆除をする際に使用されてきた毒エサでは、効果がありません。
しかし増え続けるネズミ被害を防ぐためには、スーパーラットであろうと何らかの対策を行わなくては一向に被害は減ることはありません。
住宅内に侵入したネズミを放っておくと、夜中の騒音被害や食害・糞害からの病原菌媒介による健康被害だけでなく、一生伸び続ける歯を削る習性があるためケーブルや柱など何でも齧ってしまいます。そのため、住宅の破損や二次被害として漏電による火災にまで発展した例もあり、多くの被害が発生してしまいます。
まずは基本的な家ネズミ対策をしっかり行っておくことが大切です。
家ネズミ対策 【環境的防除】 |
① エサをなくす |
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② 巣の材料をなくす |
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③ 侵入する隙間や穴をなくす |
※ネズミが屋内にいる状態で塞ぐと閉じ込めることになる為、追い出してから行うこと |
日頃からネズミが侵入してこないように対策をしておくことが大切です。
現在ではスーパーラットの増加に伴い、スーパーラット用の殺鼠剤も市販されています。
しかしこれまでの殺鼠剤よりも毒性の強いものを使用しており、劇薬指定の薬剤とされているため小さなお子様や高齢者、ペット等がいる住宅での使用は出来ません。
ご家庭で使用される際には、使用上の注意をよく読み、十分に注意して使用するようにしましょう。なお、スーパーラット用の殺鼠剤は効果があまり持続しないようになっています。
もともと臆病で用心深いため、非常に警戒心が強く、どんな場所からでも侵入できる運動神経をもっているため、スーパーラットの駆除を行うにはそれなりの時間と根気が必要になってきます。
ネズミ関連リンク
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